狼旅団電話相談室。。。その3

夏休み前最後の更新なんですのw
業務連絡
セミナーお申込みの方で法人名義でお振込みになった方がいらっしゃるようでどなたのお振込みか確認できない方がいらっしゃいます。お振込み完了しているのに確認メールが届いていない方がいたらご連絡ください。。
こんにちは
さて、昨日は
いくら容積を消化できてもちゃんと貸せる部屋にしないと部屋が埋まらないんです。。(埋まりにくい新築を建てちゃうと後々苦労するんです。。。w)
あたりで終わりましたがその続きです。。
新築物件を建てる時のイメージですが考え方はいろいろな要素を下からどんどん固めていくって作業になります。
固めていくっていうのはプランレベルのものから具現化していく工程の事を指してますが「ここはこれで決まり」って部分を作っていかないと設計に入れないのでこの作業はとても大切です。
ちなみにここが早く決まらないと工期がどんどん遅れ、しまいには建築会社主導でやられてしまい、建ってみたらイメージと全然違うものが建ってしまうこともありますw。(このケースは大体悲惨な末路を辿りますw)
単に中古物件の売り出し利回りより新築建てたほうがむしろ利回りいいんじゃね?ってくらいで新築やろうって考えてる人はこの部分を適当に考えがちなので注意して欲しいところ。。
特に昨今、相続税対策なのか、土地持ちの人がどこそこでもお構いなしにガンガン新築建てちゃうもんだからニュースなどでも空き部屋増加だの賃料低下なんてことが囁かれてます。。
そういう人たちと賃貸マーケットで戦うなんて低次元の物件が出来ちゃうと後々賃下げ合戦に巻き込まれちゃうことだって十分にあり得ます。
少なくともこうやって日頃からブログ読んだりいろいろな書籍を読み漁ってる人に限ってはそういうイヤな流れに飲み込まれないような賃貸運営を目指していただきたいのでこんな必死に書いてるわけですが、、、昨日書いたネタとかこれから書くネタあたりの意味がよくわからないまたは難しすぎるって思う人は最低限このくらいは理解してから新築チャレンジして欲しいです。(じゃないと出来上がる建物が違う建物になっちゃうんです。。)
一例ですがワタクシが新築やった時はこんな流れでそういう地主勢力に負けないような物件に仕上げようと考えました。
考えって言っても当時はまだワタクシ、今ほど建築について理解していませんでしたから
①どんな企画にする?(この土地なら何建てる?)
②どうやって建てる?(RC、S造、木造)
③どういう部屋にする?(間取り、賃貸面積など)
④どうやって貸す?(募集方法など)
⑤誰に頼んで建ててもらう?(設計士、建築会社など)
くらいしか思い浮かびませんでした。
でもこのくらいでも思い浮かぶか浮かばないかで結果がまったく違うものになっちゃうのが建築の怖い部分。
で、ワタクシの場合、
建築士に仕事を依頼する半年前からこの①~⑤までを毎日毎日うんうん言いながら悩んでました。
これもどれも全部考えないといけないのですがこの「①の企画の段階」でやらないといけないのが
日影規制
とか
窓先空地の有無
とか
採光面積
などの地域条例の把握。
細かいところはあとで設計士の人が緻密に考えてくれますが先におおまかでも理解してないと根本の建物のイメージが湧かないので⑤の誰に貸す?って部分でエリアの客層が求めるものと違うものが建ってしまい新築なのにいきなり広告料が掛かる物件に仕上がっちゃうんですww。(えぇ、、当時のワタクシ、あくまでも目標は敷2・礼2でしたww)
どんな企画にせよ土地の形やその地域の建築条例などで建てられる建物が大きく変わって来るので昨日話した容積消化の度合いと並行してどんな形の建物が建てられるのかを検証しないと話は先に進みません。
これは前にも書いた事例ですが
うちのレジの近所で新築されたRCレジ。。
うちより1年早く完成しました。
しかもうちより駅近で近所にはうちにはないコンビニまで完備されてます。
でもこのレジ、、埋まるまで2年掛かりました。(
これの原因は言うまでもなく部屋割りの失敗です。
設計士はプロなのでその土地に入る部屋はパズルやるみたいに作れますが往々にして「ちゃんと貸せる部屋が作れるか?」まで考えて設計する人はそれほど多くはありません。
なので部屋数を増やさないと賃料単価が想定の収支に達しないという理由だけで無茶な部屋割りを考えて出来るだけたくさん部屋数を取ろうとする傾向があります。施主だって銀行に出した収支表と賃料にずれがあればツッコミが入るので下手すると多少賃料坪単価を水増しして審査に出すなんて人もいるくらいですからこれはお互い様ですねw。。
しかしこういう手法で部屋を作ると失敗する確率が高くなるんです。。。、
ワタクシが新築アパートなり新築レジをやる時に業者が新築したものはダメですよって言ってるのはこの部分が顕著に見えるからです。(新築物件を勧めてるやつにこの部分を聞いてみるとどんだけ不勉強なのか一目瞭然ですw)
業者が新築すると少しでも高く売りたいあまりに見た目の賃料を少しでも高くしようと試みます。一番簡単な方法は繰り返しになりますが部屋の間取りを小さくして部屋数を多くすること。。。
これやると坪賃料が高くなるので利回りが上がります。利回りが上がれば売値も上げられるのでほとんどの業者さんは極限まで部屋数を多くしようとします。
そしてこの新築物件は売り切ることが目的ですから間違っても賃借人には目が向いてません。
当然、目はこの物件を買うであろう買主に向けられ、結果、オーナーウケのいい物件が出来上がるわけです。
うまく埋まって売却までの間、満室とまでいかなくてもそこそこのパフォーマンスで回れば上出来なんですが利回り重視に建てられた物件ってのは目が届かないところでVE(バリューエンジニアリング)が入ってます。
このVEは建築費のコストダウンを指しますが新築業者さんは建ったところで売りに出しますからこの時点で利益が出ないといけません。(じゃないと売却益取れないでしょw)
数年賃貸で回してインカム取ってから売り出すって技が出来ればいいですが業者の場合ファイナンス自体がプロジェクト融資なので融資期間なんてせいぜい1年ちょい。
投資資金の回収はこの完成時にやらないといけないわけですからケチるところは思い切りケチるのはそのためです。
じゃあ、業者も新築建てて売るなら容積いっぱいに部屋の間取りも使いやすく建てればいいんじゃね?って話になるのですが、、そうはさせまいと場所によっては条例で部屋の大きさやその他いろいろな部分で制限を掛けてきます。
これが日影規制であり、窓先空地であり、採光面積なんです。
どの条例も防火対策や隣地の通風、人間が快適に住めるようにはなんていろいろな角度から考えて作られた条例なのですが結局は集合住宅を無尽蔵に建てられてその地域の治安が悪くなったりしないための条例なのかな、、と思います。
この条例、地域のよってまちまちなのであれですがどこでもあるのが日影規制。
これは建物が道一杯に建ってると通風とか採光が悪くなるので隣地に影響が出ないよう規制に引っ掛かる部分は建物を削って建てなさいって規則です。
一見、容積いっぱいに建てられそうでも実際にボリュームチェックしてみたら日影の斜線規制に引っ掛かってその部分はガリガリと削らないと建築許可が下りないなんてことはしょっちゅう起きます。。
例えばうちのレジの別名ハイジ部屋。。

北側斜線規制でバッサリ削られちゃいましたw(設計最終段階でこれを言われて倒れそうになりましたw)
この日影規制のおかげでこの部屋は3階の角部屋にも関わらず賃料は坪あたり1000円ダウン。
40㎡の部屋なので1LDK仕様にしたかったのですが窓の採光面積が足りずに2部屋に区切れずワンルームの部屋として募集しないといけなくなり未だにダメ部屋として現在も君臨してますw
この窓の採光面積ってのもやっかいな規則です。
居室には窓を取り付けないといけないのですがこれは人が居住する以上ある程度の採光が取れないと居室として認めませんって規則。。
窓の大きさもこの法律で決められているので例えば2LDKの部屋を作りたいって時に一部屋だけ梁とかの影響で窓が作れないとなればその部屋は居室じゃなくて納戸とか別の表記にされちゃうので1LDK+納戸みたいな表記で募集する羽目になります。(うちのレジが1LDK表記できずにワンルーム表記になったのかもこれが原因ですw)
そんな部屋になった時この設計士は「なんか屋根裏ぽくっていいじゃんww」とか言ってましたが実際に賃貸の現場からは「こんな部屋、まともに貸せるわけないでしょ」と散々文句を言われうちの物件唯一の黒歴史として語り継がれてます。
こんな部屋ですから当然収支にも影響が出ます。
当初の予定より年間で14万円ダウンだし募集期間も他の部屋より時間が掛かります。
うちはこの部屋だけで済みましたがこんな部屋が半分近く占めちゃったらどうなるんでしょう。。(部屋の形が悪いとそれだけで募集に影響が出るんですw)
さらに東京都の場合、窓先空地というこれまたややこしい条例があります。
これは火災とかで窓からベランダを伝わって避難する際のスペースを2m角で確保しなさいよって規則なんですがこれがあると道路に面していない窓の部屋は空地を作る必要に迫られます。
これのせいで建蔽率的にもう少し建物面積を広く取りたいのに(じゃないと容積が消化出来なくなることがあるんです)空地の確保があるためにこれ以上広げられないなんてことが起こるんです。
この窓先空地の条例は東京都だけの規則なので他のエリアでは関係ないのですが似たような条例がいきなり出来ちゃうかもしれないので自分の建てたいエリアにこの規則が存在するのかなんてことはあらかじめ調査しておくべき話です。
さて、新築って中古物件と違い、自由度があるのでいいかと思いますが建てる人の心構えやくだらない条例ひとつで建物の形そのものが大きく変わっちゃいます。ましてこんな計画すら無しに机上で想定利回りを出して買わせようとするって行為がどんだけアコギな振る舞いなのかお分かりいただけたんじゃないかと思います。
こういう細かい部分を先に計算して部屋の大きさ、間取り、窓の位置、エアコン、キッチン、バス、トイレなどの水回りの位置が実際に家具を置いた時にちゃんと使えるのか?そこまで考えて賃料計算して「うむ、、これなら収支出そうだね」って考えてからお客さんに「この物件、、買いませんか?」って聞くのがスジなんじゃねーのかよ?wwって気分です。
とは言え、
実際、ここまで買うかどうかの判断に時間掛けたら他の人に買われちゃうでしょう。。
なので新築を考えてる人は物件情報が届いたら
①どんな企画にする?(この土地なら何建てる?)
②どうやって建てる?(RC、S造、木造)
③どういう部屋にする?(間取り、賃貸面積など)
④どうやって貸す?(募集方法など)
を頭で思い描きながら判断しつつ
⑤誰に頼んで建ててもらう?(設計士、建築会社など)
の設計士さんにお願いしてざっくりしたボリュームを入れて貰いつつ
収支は自分で計算する。(軽く書いてますがここって意外に重要ですよ)
ってルーチン作業で買うか買わないかを検討していただけるといいのですが、
え?
難しすぎるって?
大丈夫大丈夫。。
この作業、、
実際やってみるとそんな難しいことではないんです。(
慣れてしまうとどんな土地がストライクでどんな土地がクソボールなのか概要見ただけで瞬時に判断出来ちゃいますから。
・・・・
・・・・
えーっと、、
おそらくこんな話を読んだら「やっぱり、俺は業者の新築完成物件でいいや・・・」って思っちゃうかと思います。
そういう方はしつこいようですが過去記事の家賃下落の仕組みあたりをご参照していただけるとそのやる気に「緊急ブレーキ」が掛かる仕様になってますので今一度、ご一読くださいw。
あとすでに地主さんで将来的に土地活用を考えてるって方もここを読んでるんじゃないかと思いますが頼むところがなくて結局ハウスメーカーで建てちゃうって時に、こんな考え方を設計の人にぶつけてみてください(特に貸しやすい間取りあたり)
きっと「あ、こいつ素人かと思ってたけど結構知識ありそうだな」と警戒してくれて出来あいのモジュール設計じゃない提案をしてくれるかもしれませんよw
さて、ここ3日間、、
いつものようにネチネチを書いてみました。
明日はさらに突っ込んだ話を書いてみようかと思ってましたが、、残念ながら明日からワタクシ、夏休みに入ります。。(夏休みって言っても何日かは会社に来るのでその日はブログ更新しますけど)
夏休み明けに書くネタが無かったらまた書きますのでよろしくお願いします。
あと今度のセミナーに参加される方はここ3日間で書いたことを基準にさらに掘り下げた話がセミナーネタになるのでセミナーまでに今回の特集ネタで登場した専門用語くらいは予習してから来てください。(初心者向けに話しますが進行スピードが速いのが狼セミナーですw)

身も心もガン黒になって9月に戻って来るんじゃんw